瞑想株式会社へようこそ 〜1%の上司と99%の部下〜
最近、僕は「観察する瞑想」の大きなメリットに、改めて気付いた。
それは「本当に楽」ということだ。
やることは非常にシンプル。
ただ自分の心に起こることを、観察し続けるだけで良い。
トレーニングメニューを作る必要もないし、どこに向かって進んだら良いか、自分で考える必要もない。
つまり、僕らが普段使っているような「意思の力」を使う必要が、ほとんどないのだ。
僕らはオートメーションで幸福に近づくことが出来る。
こんなにシンプルな話はない。
観察って何?
ここで疑問がひとつ生まれるかもしれない。
「もしオートメーションで幸福に近づくとしたら、普段、僕らが幸福じゃないのは何故なのんだろう」
「本当にただ座っていることと、観察することとは、何が違うんだろう」
って。
僕の場合は、こういうことだと理解している。
このトレーニングの本質は「1%の自分が、残り99%の自分を観察すること」だ。
つまり、1%の「観察する自分」さえキープしておけば良い。
(脳科学的な言葉で言うなら、脳の前頭前野と、他の部位の働きとの違いになるのかもしれない)
たった1%の違いだけど、これが大きな違いだ。
なぜなら普段僕らは、この1%の「司令官」のような自分を、エネルギーを空費することに使っているから。
この1%の使い道を変えるだけで、残りの99%に対して影響が生まれる。
それが瞑想のプロセスだ。
「これは自分」という思い込み
僕らが「自分の意思でやっていること」というのは、実は「自分の意思ではやっていない」らしい。
もしくは、意思の関与度はものすごく小さい割合らしい。
これは様々な科学的な実験でも明らかにされているようだ。
僕が瞑想を続けている実感としても、この事実は当たっている。
なぜなら、思考はまったく「自動的」に湧き出てくるし。
こうやって文章を書いていても、手はほとんど自動的にキーボードを叩いている。
ほとんど何も考えなくても服は着替えられる。
自分が「意識的に考えた」はずのことでさえ、もうひとつ外側のレイヤーから見ると、まるで自動的におこなわれたように理解できる。
まあこれは、意識のプロセスのどこからどこまでを「自分」だと理解するかの、区分けの違いなのかもしれないけれど。
僕らが意識的にやっていることというのは、思ったよりも、かなり少ないようだ。
でも、だからといって「100%が自動でおこなわれている」という理解では、僕らがトレーニングをすることさえも、自動的に決まっているという話になり、これでは意図的な成長をすることは出来ない。
そこで僕は「1%の意思と、99%の自動的なプロセス」というモデルで、瞑想を理解することにした。
コツは「意思」の錯覚を減らすこと
観察する瞑想のコツは、僕らが「自分でやっている」「自分の意思で考えている」という思い込み、錯覚を、だんだんと減らしていくことだと思う。
つまり、意識のほとんどのプロセスは自動的におこなわれており、
このことで、観察の対象はどんどん広がっていくことになる。
なぜなら観察というのは、「自分」が、その外部から「自分ではないもの」を見て、理解する行為なのだから。
(もし意識の100%が「自分の意思」でコントロールされているならば「観察」なんてしようがない)
「これは自分だ」という思い込みを手放していくと、
観察できる対象は0%から99%にまで広がっていく。
99%の自分を信頼する
あ、言い忘れたけど、もうひとつコツがある。
それは「残り99%のプロセスを信頼する」ということだ。
たとえるなら、1%の自分は上司で、残り99%は部下みたいなものだ。
たとえば、「癒やし」のプロセスは自動的に起こる。
「集中」というプロセスも自動的に起こる。
「意識を適切なモデルで理解する」「戦略的に考える」という高度なプロセスさえ、部下が引き受けてくれるかもしれない。
そう、すべてのプロセスは、信頼できる「残りの脳」はからってくれる。
1%の自分は、全幅の信頼を置いて、彼らの仕事を信じるだけで良い。
(上司が部下の仕事にまで手を出すと、仕事はうまく運ばないかもしれない)
こう理解すると、瞑想は本当にシンプルになってくる。
会社運営みたいな瞑想
瞑想をするというのは、会社を立ち上げて、うまく運営していくみたいなもんだ。
事業を立ち上げたばかりの時、一番最初は、自分ひとりきりで仕事をする必要がある。
セールスも会計もマネージメントも商品の発送も、全部ひとりでやる必要がある。
だけど会社がうまくいきはじめると、部下を雇って、ある程度の仕事を任せられるようになる。
最初は仕事を教えるのに手間がかかるかもしれないけど、だんだんと人が育って、部下も自分の判断で仕事が出来るようになってくる。
さらに事業が軌道に乗ると、逆に上司が部下に事細かに指示を出す必要はなくなる。
むしろ細かい指示を出してばかりでは、逆に彼らが育たない。
なので、あなたは彼らを信頼して、多くの仕事を任せることにする。
こうやって会社は1%の「信頼」を軸として、円満に運営されていくことになる。
これが会社運営の理想の姿だ。