口に入れるたび味が変わるコーヒーの不思議さ
コーヒーは不思議だ。
口に入れるたびに、味が違う。
- 苦さが違う (舌のどの部分にコーヒーが触れるか、とか)
- 熱さが違う (淹れ立ては熱く、時間が経つと温度は変わるから)
- 自分の飲み方が違う (口に含む量とか、スピードとか)
- 自分の気分が違う (たとえば悩みながら飲むのと、優雅な気持ちで飲むのとでは)
- 環境が違う (さっきはローリングストーンズが流れていたけれど、今は名前を知らない音楽が流れていたりする)
コーヒーは同じ味?
僕らの頭は「同じコーヒーなら、同じ味だろう」と考える癖がある。 たとえばスターバックスのような、品質が均一化された店では、味の違いなどあるわけがないと、無意識に考えてしまう。
僕らの頭は「同じ名前」なら「同じ体験」と思い込んでいる。
別々の体験さえ、ひとつのものにまとめてしまう。それが言葉というものの作用だ。
だけど僕らは思考ではなく、体験の世界に飛び込むことも出来る。
自分の体験に敏感になるトレーニングを積めば、世界にひとつたりとも、同じコーヒーは存在しないと気付くことだろう。
そして、その一口一口が、極めて美しいことにも。
日常は日常じゃない
いつも飲むコーヒーは、いつも飲むコーヒーではなく。
同じ味のコーヒーは、同じ味のコーヒーではなく。
いつもある日常は、いつもの日常ではない。
ひとつとして同じではない。
だから退屈しない。
ヒント
だけど、重要なのは「コーヒーの違いが分かるようになること」でもないし、「世界の美しさに気付くこと」でもない。
それは原因じゃなくて、ただの結果だからだ。 結果を刈り取るのではなくて、原因に水を与えよう。
「今の瞬間に集中する習慣」が、きっと僕らを助けてくれる。