0.1秒で体験は思考にシフトする 〜心はどこに消えた?〜
幸福と不幸
僕ら「心がここにあること」で、幸福になることが出来る。
逆に「心ここにあらず」の状態は、ものすごく不幸を生み出しやすい。
これは力強い法則で、僕らが普段考えているような「幸福と不幸の原因」よりも、99倍も真実に近い。
だけど僕らは、あまりにも「心がここにない状態」に慣れすぎて、もう「心がここにあること」は、まるで思い出せなくなっているだろう。
0.1秒のスピード
僕らが瞑想やマインドフルネスを続けて、ようやく「今この瞬間」に存在することが出来た。
その瞬間、すぐ 0.1秒後には、もう心は「どこか」に旅立とうとするのだ。
それぐらい僕たちは、現実から切り離されることに慣れている。
それぐらい思考というものは、素早い。
1秒間に10回の思考
たとえば「マインドフルネスな体験」の後に起こる思考のプロセスは、こうだ。
- ついにマインドフルネスを感じることが出来た (0.1秒後の思考)
- ささやかな幸福さえ感じることが出来た (0.2秒後の思考)
- この感覚が続けば、ずっと幸福でいられそうな気がする (0.3秒後の思考)
- だから、この感覚を続けられるようになりたい (0.4秒後の思考))
- でも、本当に続けることなんて出来るんだろうか (0.5秒後の思考)
- いま一瞬は幸福だと思ったけれど、やっぱり自分は不幸なのかもしれない (0.6秒後の思考)
- 幸福だって感じたのも、ただの気のせいかもしれない (0.7秒後の思考)
- この不幸な感覚から抜け出したい (0.8秒後の思考)
- 瞑想なんてやっていても無駄なのかもしれない (0.9秒後の思考)
- 「今への集中」なんてまるで役立たないんじゃないだろうか (1.0秒後の思考)
こうやってあっという間に、僕らは「体験」から「思考」へとシフトしてしまう。
つまり、最初のマインドフルな体験は本物だったとしても、思考はすぐにそれを覆い隠して、中身を入れ替えてしまう。
そして僕らは「体験が思考にすり替わったこと」にさえ気付かない。
だけど
- 心がここにある感覚を、繰り返す
- 今の体験に集中する
- 思考の罠に気付いて、今の瞬間に戻ってくる
これを繰り返すことで少しずつ、思考から体験を奪い返すことが出来るだろう。
マインドフルネスは心のトレーニングだ。